

体外受精は下記のような人が治療の対象になります。
1.卵管性の不妊:両側卵管が閉鎖していた場合
これは1978年初めて体外受精で出生した英国のマリールイズの母親がこの両側卵管閉鎖であったことからも分かるように第一の適応症です。注意しなければならないのは子宮卵管造影の診断の正確さですが、およそ70%-80%といわれています。過度の緊張や痛みで卵管が攣縮を起こし通過が視られないという可能性が潜んでいます。また両側が開通している人が100%としたら片側が開通しており、そのほかに不妊原因が無い方は約70%程の妊娠の期待値があるといわれています。
2.男性不妊
運動精子数が200万/ml以下の濃度しか無い方が一応の目安です。そのほかに精子の奇形率が非常に多い方や数が極端に少ない方も適応になりますが、このような方の場合は顕微受精がいいとされています。また初回の場合、体外受精と顕微受精のどちらがいいかという点においては一般的には体外受精を最初にされるのがいいようです。
もし体外受精で受精しなかった場合を避ける方法としましては、体外受精で媒精してから6時間後に卵をみて、一つも極体を排出しているものが無ければ、その時点で顕微受精を追加するという方法もあります。この方法は多精子受精の可能性も出てきますが、多精子受精した卵はうまく卵の分割がいかないことが多く、そのような卵は形態的にほとんど見分けることができます。また卵は採卵後24時間を経過すると顕微授精してもほとんどが受精できないのです。
明るい話題:男性不妊で顕微受精が必要なカップルは全く妊娠できないかというとそうでもありません。男性不妊以外に原因が無く場合は3年間の間に頑張っていると約15%程の累積妊娠率が得られるとされていますので、治療を諦めた方でも妊娠する可能性があります。
3.免疫性不妊
抗精子抗体や精子不動化抗体を有している場合があたります。女性がその抗体を有している場合、女性の生殖器官内を精子が通過する過程で受精能が傷害されるので、抗体がない培養液の中で精子と卵子を受精させ胚細胞となった時点で子宮に胚移植すると初回時50%〜60%におよびます。ですから生児獲得が高く期待できますので、積極的に体外受精を受けてください。
4.原因不明不妊(IVF Test)
長期の適切な不妊治療を受けたにもかかわらず妊娠できない方々が対象となります。
IVFをしますと培養液の中で卵と精子が受精しているかどうか、卵分割はうまくいっているかどうかの確認がわかります。原因不明妊娠の半分は排卵時の卵のピックアップ障害といわれていますので、体外受精やGIFTをすれば上記の半分の方は比較的早く妊娠できます。精子側の活性化能や受精能の判定はマウスの卵に人の精子を顕微授精させて調べる方法があります。

自然妊娠する一番よいタイミングは?
自然妊娠の可能性は排卵の5-6日くらい前からあるといわれています。
妊娠しやすいのは卵胞が一番大きくなり女性ホルモンのエストラジオールがピークを迎え、LHが尿中に濃く出てくる頃が妊娠しやすいピークを迎えます。この頃には頸管粘液が痰のような粘液からきれいな粘液に変わり、射出された精子が頸管を通過して遡上できるからと考えられています。
排卵された卵は24時間以内に受精が成立しないと死んでしまう運命にあり、排卵前の頸管粘液が多量にでているときにタイミングを合わせるのがポイントです。

妊娠ができる女性とは
妊娠ができる女性とはどのような女性でしょうか。
この問いに対し私はいつも「健康な女性にしか許されていないもの」と常々患者さんに話しています。でも健康な女性とはどのような女性でしょうか。太り過ぎや痩せすぎの女性には排卵障害がつきものです。精神的にストレスや睡眠不足の人も間脳-視床下部-下垂体系の連鎖から排卵障害になってしまいます。また体の代謝が悪い冷え症の人も反応性の悪い人です。
考えてみれば、食事を過不足無く摂らなければ体の構成要素である細胞に十分な栄養とエネルギーを供給できず、それは通常の細胞の100培の大きさの巨大細胞である卵の発育不良につながり、排卵障害や黄体機能不全、不妊と直結しそうです。不妊症治療の最新の技術を用いてもどうしても患者さんの治療に対する反応が予期していたほどではないのは、ここら辺のことが関係しているような気がします。
競争と効率性の追求を女性だからといって逃れられないこの社会の中にあって、せめて自分の体の構成要素である細胞の世話をするよう、摂取する食べ物に気をつけたいものです。食の文化をもっと大切にして、体によい食事を心がけてほしいと思います。