不妊検査の流れ

    不妊検査の流れ

    卵管造影検査(HSG)

    卵管の機能が保持されているかチェック、現在でも卵管造影検査は通っていれば卵管の機能は正常とされていますが、これはあまりにもおおざっぱすぎます。30年前の卵造影の写真を1枚ずつ大きなフィルムに撮るのがやっとの時代はさておき、現在はX線TVのモニター下に流出する卵管采の状態が克明に分かるような時代になっていますから、もう一度詳細に卵管造影検査の評価をした方が良いものと思われます。
    当院では、X線TVのモニター画像をビデオ録画しておき、卵管采から造影剤が放出される時の様子を克明に追ってみますと、9割の患者さんが卵管狭窄と思える所見があり、またそのような方のほとんどに翌日以降に撮る骨盤写真において、造影剤の貯留が9割以上の方に見られ、何らかの腹膜炎が有る事が分かります。その多くの方が、クラミジアの抗体を全く持たず、クラミジア感染の既往は余り考えられない方が8~9割ほどです。今まで卵管性不妊の原因としてのクラミジア感染が考えられるという節は私には信じがたい現実です。


    卵管狭窄・閉鎖の原因?

    おそらく子宮口から精子が遡上するように、膣内の細菌が遡上し、卵管采に生着して、自覚の無い慢性の卵管采炎のためにそのようなことが起こったと類推できます。

    • 管腔臓器の慢性的な緩やかな炎症は、狭窄を起こす事は、食道がんや直腸がんが有名です。
    • 歯周病菌が大動脈弁に生着して、大動脈弁閉鎖不全や狭窄による心肥大をひき起こしているのと類似性が認められます。即ち卵管采の様な軟部組織は細菌が生着しやすいのではないでしょうか。

    そのような方の卵管采の充満して造影剤が放出される時の形態としては
    • 棍棒型:卵管采が巾着袋を閉めた様な形になっており、卵管采の部分だけに限局したタイプ
    • 尖形型:炎症が卵管膨大部全体に及び、先に行くほど細くなってゆく形をしているものは、炎症が膨大部全体に波及したものと推察されます。

    また、そのような卵管采炎を起こしたと思われる方のほとんどに、その卵管采炎を起こした菌が腹腔内に漏れ出て知らぬ間に腹膜炎を起こし、軽度の腹腔内癒着を引き起こしているという骨盤写真からも推論できます。