トランス脂肪酸と妊娠の検討

2024.01.30栄養

トランス脂肪酸と妊娠の検討

脂質(脂肪)は、一般的に控えた方がいいものという認識を持つ女性が多いです。
しかし実際はその逆で脂質はヒトの体において非常に大切な栄養素です。
多すぎても少なすぎても生殖能力に悪影響を与えることがわかっています。
またその選び方が重要になります。選び方とは<どのような脂肪酸が多く含有する食品>であるかということです。
その中でもここでは生殖能力に最も悪影響を与えると考えられる「トランス脂肪酸」について記載します。

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トランス脂肪酸には炎症促進をする特性があり、インスリン抵抗性の増加に加えて、2 型糖尿病や PCOS などの他の代謝障害を発症するリスクがあります。そのせいで女性の生殖能力に悪影響があると考えられています。
特に魚からの脂肪酸の摂取が少なく、トランス脂肪酸が多い場合には、生殖能力に悪影響がある1,2)ことがわかっています。
男性側においても、トランス脂肪酸過剰摂取は精液中の精子の質の低下、濃度の低下に影響する3)ことがわかっています。

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トランス脂肪酸はマーガリンや、ショートニング、ファットスプレッドに多く含有しています。
日常の生活の中でもマーガリンではなくバターを、パンやクッキーやビスケットなどを購入するときはマーガリンやショートニングを使用していないものを選ぶといいです。
パン屋さんでは使用している油脂が書かれていないので、お店の方に聞いてもいいですし、わからないときは油脂を使用しないで作るバゲットを選ぶといいです。
またドーナツ、ファストフードなどの揚げ物には、揚げ油にトランス脂肪酸が使われているとも言われていますので、控えた方がよさそうです。

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*参考文献*
1)Chavarro, J.E.; Rich-Edwards, J.W.; Rosner, B.A.; Willett, W.C. Dietary Fatty Acid Intakes and the Risk of Ovulatory Infertility. Am. J. Clin. Nutr. 2007, 85, 231–237.
2)Wise, L.A.; Wesselink, A.K.; Tucker, K.L.; Saklani, S.; Mikkelsen, E.M.; Cueto, H.; Riis, A.H.; Trolle, E.; McKinnon, C.J.; Hahn, K.A.; et al. Dietary Fat Intake and Fecundability in 2 Preconception Cohort Studies. Am. J. Epidemiol. 2018, 187, 60–74.
3)Skoracka, K.; Eder, P.; Łykowska-Szuber, L.; Dobrowolska, A.; Krela-Kaźmierczak, I. Diet and Nutritional Factors in Male (In)Fertility—Underestimated Factors. J. Clin. Med. 2020, 9, 1400.