手荒れと鉄欠乏

2024.02.02栄養

手荒れと鉄欠乏

乾燥する冬は手荒れの酷い方をお見かけします。
手荒れをするのは仕方ないと諦めていませんか?

<手荒れは炎症>

手荒れを放置するということは 炎症を放置することです。

炎症は体内では火事場の大騒ぎです。
なので、その炎症をやっつけようと白血球が活性酸素を生んで頑張ります。

活性酸素は正しく炎症だけの照射されるわけではありませんので、
周囲の正常な細胞までやっつけられてしまいます。

このような状況が続けば酸化ストレスがどんどん広がります。

<炎症に対する体の防衛策>

身体は炎症から身を守るために白血球だけでなく、様々な防衛策を講じています。

その一つに鉄の吸収を抑制する という方法があります。

鉄は、赤血球の酸素運搬に必須のヘモグロビン構成原子であり、ミトコンドリアの呼吸鎖,肝臓における薬物代謝,細胞増殖,DNA合成など様々な生体反応に必須の原子です。

一方で、活性酸素種を容易に産生する極めて毒性の高い原子でもあります。
鉄は細菌の生存・増殖に須であり、感染症を憎悪する一因ともなります。

だから炎症・感染症時には鉄の再利用・吸収抑制を行う鉄の代謝機構となります。
細菌の鉄利用を阻止し,活性酸素種の発生による組織障害を回避するわけです。1)

<炎症や感染症による鉄欠乏>

炎症が長期にわたり鉄の吸収・再利用の抑制が長引くと、鉄利用障害による慢性炎症に伴う貧血が発症します。

だから たかが手荒れ されど手荒れです。
手荒れやアトピー性皮膚炎、そして体内の見えないところでも炎症の可能性はあります。
胃腸や肝臓の不調などもその一つです。

<鉄不足への対策>

鉄欠乏が疑われるとき、まず「鉄補給をどうするか」という事に考えが行きがちですが
そうではなくて「鉄代謝が正常に行われる体」になることが先です。

そうでなくては、せっかく体が供えた様々な機能が無駄になり、強い活性酸素種を生んでしまったり、体に好ましくない細菌が増加してしまうからです。

まず「炎症を落ちつかせる」「感染症を改善する」
その対策の後には
体は自然に鉄の吸収力を上げて、わたしたちが摂取する鉄を体内に取り込んでくれます。

<「たかが手荒れ」と妊娠への関与>

慢性炎症を放置する

鉄の吸収が悪くなる

鉄欠乏による酸素欠乏や代謝不全が起こる

妊娠しずらくなる

こんな構図が十分に考えられます。
手荒れを守ることは、全身を良くしてくれる可能性を秘めていますね。

1)張替秀郎,鉄と炎症,日内会誌99:1282~1286,2010