栄養補助食品と生殖能力

2025.06.11栄養

栄養補助食品と生殖能力

妊活中にバランスの取れた食事が基本ですが
「サプリメントは効果があるの?」「どんなものを選べばいいの?」
といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか
当院では、医師によって患者様の体に合わせたサプリメントを
おすすめしています
なので、個々に必要なサプリメントは診療中におたずねください
今回は、不妊治療とサプリメントに関する海外の医学論文を参考に
栄養改善可能性についてお話ししたいと思います

ご紹介する論文は
「Nutraceuticals for Fertility:
Scientific Evidence of Their Role in Reproductive Health」
というタイトルで、2025年に発表されたものです
Nutraceuticals(ニュートラシューティカルズ)とは
食品や食品成分のうち
健康維持や増進に科学的根拠が期待されるものを指します
この論文では、様々な栄養補助食品が男女の生殖能力に
どのような影響を与えるか、これまでの研究結果をまとめて評価しています

◆注目される栄養素と期待される効果
論文では、男女それぞれに対し、以下のような栄養素の有用性が示唆されています

【女性の妊活において】

〇ミオイノシトール
特に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方において
排卵機能の改善や卵子の質の向上に役立つ可能性が報告されています

〇葉酸
胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減に不可欠なだけでなく
卵子の質や着床環境にも良い影響を与える可能性が示されています

〇コエンザイムQ10(CoQ10)
強力な抗酸化作用を持ち
加齢などによる卵子の質の低下を抑える効果が期待されています
(当院では、CoQ10のほかにさらなる抗酸化作用の強いもの
しなやかに抗酸化作用があるものなどもお勧めしています)

〇ビタミンD
卵巣機能や子宮内膜の状態を整え
着床しやすい環境づくりをサポートする可能性が研究されています
(当院におススメのサプリメントのご用意があります)

〇オメガ3系脂肪酸(DHA・EPAなど)
抗炎症作用により、子宮内の環境を整えたり
ホルモンバランスをサポートしたりする効果が期待されます

【男性の妊活において】

〇コエンザイムQ10(CoQ10)
精子の運動率、濃度、形態の改善に
貢献する可能性が複数の研究で示されています

〇亜鉛
精子の形成や男性ホルモン(テストステロン)の産生に不可欠なミネラルです

〇セレン
抗酸化作用を持ち、精子の運動率や形態の維持に関わっています

〇L-カルニチン
精子のエネルギー産生を助け、運動能力を高める働きが期待されます

〇その他抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンEなど)
精子は酸化ストレスに弱いため、
これらの抗酸化物質は精子を保護し、質を維持するのに役立ちます

◆サプリメントを利用する上での大切な注意点
これらの栄養素は、サプリメントとして手軽に摂取できますが
利用する際には以下の点にご注意ください

〇基本は食事から
サプリメントはあくまで「補助」です
栄養バランスの取れた食事が最も重要です

〇過剰摂取のリスク
特定の栄養素を過剰に摂取すると、かえって健康を害する可能性があります

〇品質の確認
サプリメントは製品によって品質にばらつきがあります
信頼できるメーカーのものを選びましょう

〇相互作用
服用中のお薬や他のサプリメントとの飲み合わせによっては
効果に影響が出たり、副作用が生じたりすることがあります

〇個別性
必要な栄養素や量は
お一人おひとりの体の状態や食生活によって異なります
サプリメントの利用を検討される場合は
医師や管理栄養士にご相談ください
当施設でも、患者様それぞれに合った
栄養アドバイスを行っておりますので、お気軽にお声がけください^_^

*参考文献*
Pandey, C.; Maunder, A.; Liu, J.; Vaddiparthi, V.; Costello, M.F.; Bahri-Khomami, M.; Mousa, A.; Ee, C. The Role of Nutrient Supplements in Female Infertility: An Umbrella Review and Hierarchical Evidence Synthesis. Nutrients 2025, 17, 57. https://doi.org/10.3390/nu17010057