ラクトフェリンが拓く受胎への可能性

2025.10.08栄養

ラクトフェリンが拓く受胎への可能性

「ラクトフェリン」について興味のある方も多いと思います
ラクトフェリンは母乳、特に初乳に多く含まれる多機能性タンパク質で
私たちの体内で様々な生理活性を発揮します
その中でも、特に受胎との関連で注目されているのが
「免疫調節作用」と「抗菌・抗ウイルス作用」です

<ラクトフェリンの受胎への働き>

◆子宮内膜環境の改善
子宮は受精卵が着床し、成長する非常に重要な場所です
子宮内膜の環境が良好であることは、妊娠成立に不可欠です
ラクトフェリンは子宮内の炎症を抑制し
良好な免疫バランスを維持することで
受精卵が着床しやすい環境を整える可能性が示唆されています 1)

◆子宮内フローラの改善
近年、膣や子宮内の細菌叢(フローラ)が
妊娠に与える影響が明らかになってきました
悪玉菌の増殖は、着床障害や流産のリスクを高める可能性があります
ラクトフェリンは善玉菌の増殖を助け、
悪玉菌の増殖を抑制する作用があるため
子宮内フローラのバランスを整え、健康な妊娠をサポートすると考えられています

◆精子の質と運動性の向上
男性不妊においても、ラクトフェリンが注目されています
ラクトフェリンの抗酸化作用や抗炎症作用が
精子のDNA損傷を軽減し、運動性を向上させる可能性が示唆されています 2)

ラクトフェリンは、その多様な作用から
不妊治療における新たな可能性を秘めた成分として期待されています
特に、子宮内膜環境や子宮内フローラの改善
そして精子の質の向上といった側面から受胎をサポートする効果が研究されています

サプリメントはあくまで日々の食事を補うものです
バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を基本とし
ご自身の身体と向き合うことが最も大切です
ラクトフェリンの摂取をご検討の際は、医師や栄養士にもご相談ください

*参考文献*

1)Nakamura A, Tanaka Y, Tsuji S, Amano T, Takebayashi A, Takahashi A, Inatomi A, Hanada T, Murakami T. Bovine lactoferrin suppresses the proliferation of endometriotic stromal cells via the PI3K/Akt/mTOR pathway. Biochem Cell Biol. 2025 Jan 1;103:1-8. doi: 10.1139/bcb-2025-0014. PMID: 40489900.
2)Omes, C.; De Amici, M.; Tomasoni, V.; Todaro, F.; Torre, C.; Nappi, R.E. Myeloperoxidase and lactoferrin expression in semen fluid: Novel markers of male infertility risk? Immunobiology 2020, 225, 151999.