【米国の新・食事ガイドライン】当院が目指す妊娠しやすい体づくり③

2026.02.21栄養

【米国の新・食事ガイドライン】当院が目指す妊娠しやすい体づくり③

前回に続き、米国の新食事ガイドライン(Dietary Guidelines for Americans)がテーマです

「加工食品を控える」「タンパク質をしっかり摂る」
これまでのブログで、妊活の基礎となる食事の考え方をお伝えしてきました

シリーズ第3弾となる今回のテーマは「糖質」です
特に、米国の最新食事ガイドラインで厳しく制限が推奨されている
「添加糖(Added Sugars)」に焦点を当てます

甘いものは心の栄養とも言われますが、
妊活中の過剰摂取は
卵子の質に関わる「ある現象」を引き起こすことが分かってきています
今回は、なぜ妊活中に「糖の質」を見直すべきなのか、その理由を検討します

1. 最新ガイドラインが警告する「添加糖」とは?

まず言葉の定義から確認しましょう
「添加糖」とは、食品の加工や調理の段階で加えられる
砂糖やシロップのことです
ジュース、お菓子、菓子パン、甘い味付けの総菜などに含まれます
一方で、果物や牛乳にもともと含まれる自然由来の糖分はこれには含まれません

米国ガイドラインでは、
この添加糖を「1日の総摂取カロリーの10%未満に抑えること」を強く推奨しています
これは、肥満を防ぐだけでなく、体内の炎症や代謝異常を防ぐためです

2. 卵子を焦げ付かせる「糖化ストレス」

なぜ、当院が糖の摂りすぎを心配するかというと
「糖化(グリケーション)」という現象の予防のためです
糖化とは、余分な糖質が体内のタンパク質と結びつき、
細胞を劣化させる反応のことです
ホットケーキを焼くとこんがり褐色になる反応と同じで
これが体内で起こると「体のコゲ」とも呼ばれる
老化物質「AGEs(終末糖化産物)」が発生します

前回のブログで「卵子はタンパク質でできている」とお伝えしました
血液中にあふれた過剰な糖は、卵巣や卵子のタンパク質にも
容赦なく結びつき、その質を低下させてしまいます
つまり添加糖の過剰摂取は、卵子の老化を加速させるリスクがあります

3. 排卵障害とインスリンの関係

また、甘い飲み物などで急激に血糖値を上げると
血糖値を下げるホルモン「インスリン」が大量に分泌されます
インスリンの乱高下は、卵巣での男性ホルモンの分泌を刺激し
卵胞の発育を妨げることがあります
これは特に、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方にとっては
排卵しにくくなる大きな要因となり得ます
ホルモンバランスを整え、安定した排卵を目指すためにも、
血糖値を穏やかに保つことは治療の第一歩として重要な視点です

4. 今日からできる「糖質」の見直し方

米飯やパン、麺を過食することもよくありませんが
「添加糖」を減らし、質の良い糖を選びたいものです

★「飲む砂糖」を卒業する
最も吸収が早く、血糖値を急上昇させるのは液体です
清涼飲料水、甘いカフェラテ、エナジードリンクを
水、お茶、無糖の炭酸水に変えるだけで、
添加糖の摂取量は劇的に減らせます

★お菓子を「自然の甘み」に置き換える
甘いものが欲しくなったら、ケーキやクッキーの代わりに
季節の果物やブルーベリー、ハイカカオのチョコレートなどを選びましょう
これらには食物繊維やビタミンが含まれており、血糖値の上昇も緩やかです

★成分表示を見る癖をつける
原材料名に「果糖ブドウ糖液糖」「砂糖」が上位に来る食品は
できるだけ避けるようにしましょう
「鍋の素」のような「〇〇の素・たれ」にも
これらは過剰に使われています
調味料はシンプルなものが理想です

不妊治療において、
ご自身でコントロールできる最大の要素が「食事」です
「甘いものを一切食べてはいけない」わけではありません
ただ、何気なく口にしているその一口が
卵子の周りの環境を「砂糖漬け」にしていないか
少しだけ意識を向けられるといいですね
まずは、デスクの上の甘いコーヒーを
香り高いハーブティーに変えることから始めてみませんか?
卵子を守る選択を積み重ねていきましょう

管理栄養士