私たちは「妊娠しやすい体づくり」を大切にしています
その土台となるのが「栄養」です
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今日は、『鉄は魔法使い』(畠山重篤 著)という本をご紹介しながら、
生命にとって欠かせない「鉄分」についての話です
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著者の畠山さんは、気仙沼で牡蠣(カキ)の養殖をされている漁師さんです
彼は「森は海の恋人」という運動を通して、
海を豊かにするために山に木を植える活動を続けてこられました
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一見、山と海、そして不妊治療は関係ないように思えるかもしれません
しかし、この本には私たちが健康に生き、
新しい命を育むための重要なヒントが隠されています
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この本の中で語られているのは、壮大な鉄の循環です
植物プランクトンが海で育つためには「鉄」が不可欠です
しかし、ただ鉄があればいいわけではありません
山や森の腐葉土に含まれる成分(フルボ酸)と結びついた鉄が
川を伝って海へ流れ込むことで初めて、海草やプランクトンが吸収できる形になるのです
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鉄が森から海へ運ばれることで、プランクトンが増え、小魚が育ち、豊かな生態系が作られる
著者は、死の海になりかけていた湾が、
鉄の力によって再び生命あふれる海へと蘇る様を「魔法」と呼びました
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鉄は、植物にとっても、地球全体にとっても、命の連鎖を生み出す「魔法使い」なのです
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人もまた、鉄なくしては生きられない
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この「鉄の魔法」は、海の中だけでなく、私たち人間の体の中でも起きています
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私たちの体には約37兆個の細胞がありますが、
その一つひとつが活動するためのエネルギーを作る際、絶対に欠かせないのが「鉄」です
呼吸をして酸素を取り込み、それをエネルギーに変える(ミトコンドリア回路)
この生命維持の根本的なシステムは、鉄がなければ動きません
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地球が鉄不足になると生態系が崩れるように、
人の体も鉄が不足すると、細胞レベルで元気がなくなってしまうのです
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不妊治療の現場で血液検査をすると、健康診断では「異常なし」と言われる方でも
実は深刻な鉄不足であるケースが非常に多く見られます
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これを私たちは「貧血のない鉄欠乏(隠れ貧血)」と呼んでいます
ヘモグロビンの数値が正常でも、体内の貯蔵鉄である「フェリチン」の値が低い状態です
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生きるための最低限の鉄は足りていても、余分な鉄(貯金)がない状態では、
体は「自分の命を守ることで精一杯」になります
すると、生殖機能という、生命維持の優先順位としては「次」の機能へ
栄養を回す余裕がなくなってしまうのです
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・卵子の質を高める
・ふかふかの着床しやすい子宮内膜を作る
・妊娠中の赤ちゃんの成長を支える
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これら全てに、たっぷりの鉄が必要です
「なんとなく疲れが取れない」「冷え性が治らない」といった不調は、
もしかすると体が発している「鉄不足のサイン」かもしれません
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『鉄は魔法使い』の中で、自然界が鉄によって蘇ったように
私たちの体も適切な栄養療法と補充によって、本来持っている「産む力」を呼び覚ますことができます
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当院では、単なる数値合わせではなく、
お一人お一人の「妊娠できる体」を作るための栄養カウンセリングを行っています
鉄という魔法使いを味方につけて、一緒に元気な体を作っていきましょう
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院長