妊活に取り組む中で、食事や運動、サプリメントなど、様々なことに
気を配られていることと思います
けれど「腸内環境」まで意識されている方は、少ないように思えます
実は、近年の研究で、腸内環境が私たちの想像以上に
妊娠力と深く関わっていることが科学的に明らかになってきました
今回は、その理由と今日からできる食事のポイントについてお伝えします
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私たちの腸内には約100兆個もの細菌が棲みつき
腸内フローラ」と呼ばれる生態系を形成しています
このバランスが妊娠の可能性に影響を与えてます
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1. 栄養素の「吸収力」を高める
妊活に不可欠な葉酸、鉄、亜鉛、ビタミンDなどの栄養素は
腸で吸収されて初めて体内で機能します
腸内環境が乱れ、腸の粘膜に炎症などがあると
せっかく食事やサプリメントで摂った栄養素が十分に吸収されません
結果として、卵子や精子の質、子宮内膜の状態に影響を及ぼす可能性があります
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2. 栄養素を「産生」し、体内を満たす
腸は栄養を吸収するだけでなく
体内で必要な栄養素を「作り出す」工場でもあります
腸内に棲む善玉菌は、私たちが食べたものをエサにして
ビタミンB群(B2, B6, B12, ビオチン、葉酸など)やビタミンK、
短鎖脂肪酸といった有用な物質を産生します
特に、細胞分裂に必須で妊娠初期の胎児の成長に極めて重要な
「葉酸」の一部も腸内で作られます
腸内環境を整えることは、食事からの摂取を補い
体内の栄養状態を底上げする重要な役割を担っています
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3. 体内の「慢性炎症」をコントロールする
腸内環境の悪化は、有害物質が血中に漏れ出し
体内で「慢性的な炎症」を引き起こす一因となります
この目に見えない静かな炎症は、インスリン抵抗性(血糖値が下がりづらくなる状態)を高め
排卵障害や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を悪化させたり
着床障害に関わったりすることが指摘されています
腸内環境を整えることは、この炎症を抑え
妊娠に適した穏やかな体内環境を作ることにも繋がります
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4. 「子宮内フローラ」との密接な関係
最近の研究で特に注目されているのが「子宮内フローラ」の存在です
かつて無菌と考えられていた子宮内にも細菌が存在し
そのバランスが着床の成否を左右することが分かってきました
研究では、着床に成功しやすい子宮内は
ラクトバチルス属の善玉菌が90%以上を占めていると報告されています
そして、この子宮内フローラの由来の一つが、腸内細菌であると考えられているのです
つまり、腸内環境を良好に保つことが子宮の環境を整える上で非常に重要だと言えます
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妊娠力を高める「腸活」のポイント
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では、具体的に何をすれば良いのか
その基本は、腸内の善玉菌を「摂り入れ(プロバイオティクス)」
そして「育てる(プレバイオティクス)」です
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◆プロバイオティクス(善玉菌そのもの)
味噌、納豆、キムチ、ぬか漬けなどの発酵食品を毎日の食事にプラスしましょう
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◆プレバイオティクス(善玉菌のエサ)
食物繊維やオリゴ糖を豊富に含む
野菜、果物、きのこ類、海藻類、豆類、全粒穀物(玄米、オートミールなど)を
積極的に摂りましょう
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腸内環境を整えることは、遠回りのようで実は妊娠への確かな近道です
ご自身の体と向き合う一つの大切なステップとして
ぜひ今日から「腸活」を意識してみてください
食事についてご不明な点があれば、いつでもお気軽にご相談くださいね!
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管理栄養士