女性のライフステージに寄り添う医療を提供する中で
更年期以降の健康についてもご相談いただく機会が増えてきました
今回は、特に注意が必要な「骨粗しょう症」について、一歩踏み込んでお話しします
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なぜ更年期に骨粗しょう症のリスクが高まるのか、ご存知でしょうか?
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閉経を迎える50歳前後の更年期には
女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少します
エストロゲンには、骨の新陳代謝を調整し、骨密度を維持する重要な役割があります
そのため、エストロゲンが減少すると骨がもろくなり
自覚症状がないまま骨粗しょう症が進行してしまう危険性があるのです
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そこで、骨の健康を守る食事の基本についてお伝えします
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骨粗しょう症予防の基本は、
骨の主成分であるカルシウムを十分に摂取することです
更年期以降の女性は、1日に700~800mgのカルシウム摂取が推奨されています
小魚、大豆製品、緑黄色野菜などを積極的に食事に取り入れましょう
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しかし、カルシウムは摂取するだけで安心というわけではありません
カルシウムの吸収を高める「ビタミンD」や
骨へのカルシウムの沈着を助ける「ビタミンK」も同時に摂取することが非常に重要です
ビタミンDはサケやキノコ類に、ビタミンKは納豆やほうれん草などに多く含まれています
またビタミンDについては、陽に当たることで皮膚下で合成される代謝経路を
用いることも重要です
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カルシウムの「質」にも注目したいです
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あまり知られていませんが、
食品やサプリメントに含まれる炭酸カルシウムには、
「アラゴナイト」と「カルサイト」という異なる結晶構造が存在します
これらは化学的には同じ炭酸カルシウムですが、原子の配列が異なり
体内での働きにも違いがある可能性が指摘されています
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アラゴナイト結晶:吸収効率に優れた自然由来のカルシウム
アラゴナイトは、サンゴや真珠、貝殻などに含まれるカルシウムの結晶構造です
常温・常圧ではカルサイトに比べてやや不安定な構造のため、
酸性の胃の中で溶けやすく、体内への吸収率が高いと考えられています
自然由来のカルシウムサプリメントの中には
このアラゴナイト構造を持つものがあります
食品では、小松菜、ほうれん草、シラスのような稚魚、海藻、サンゴ
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カルサイト結晶:広く利用されている安定したカルシウム
カルサイトは、石灰石として自然界に広く存在する、非常に安定した結晶構造です
そのため、多くの食品添加物や安価なカルシウムサプリメントに利用されています
食品では、牛骨、成魚の骨、カニの甲羅
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より効率的にカルシウムを補給し、骨の健康を維持するためには、
吸収率に優れる可能性のあるアラゴナイト結晶のカルシウムを
選択肢の一つとして考えてみるのも良いでしょう
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更年期は、これからの人生をすこやかに過ごすための大切な準備期間です
食事や運動習慣を見直し、質の良いカルシウムを賢く選ぶことで
骨粗しょう症のリスクに備えましょう
ご自身の骨の状態が気になる方は
一度、骨密度検査を受けてみることをお勧めします
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また吸収したカルシウムを骨でしっかり使うためには
『相棒』であるマグネシウムが不可欠です
牛乳やカルシウムサプリメントを意識的に摂る方は
同時にマグネシウムが豊富なナッツ類、海藻、ほうれん草、豆腐などを
食事にしっかり取り入れ、体内での『カルシウムとマグネシウムのチームワーク』を
高めることを忘れないでください
カルシウムだけを単体で増やすのではなく
食事全体でミネラルのバランスを整えることが、真の骨粗しょう症予防につながります
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院長