【米国の新・食事ガイドライン】当院が目指す妊娠しやすい体づくり④

2026.02.25栄養

【米国の新・食事ガイドライン】当院が目指す妊娠しやすい体づくり④

これまでのブログで、妊活における身体作りの「引き算」と
「土台作り」「卵子の質を守る」についてお話ししてきました

第4弾となる今回のテーマは「脂質(あぶら)」です
「油は太るから控えている」という方もいらっしゃるかもしれませんが
最新の米国食事ガイドライン(Dietary Guidelines for Americans)では
脂質を単に減らすのではなく
「飽和脂肪酸(肉の脂など)を減らし、
不飽和脂肪酸(魚や植物の油)に置き換える」ことが強く推奨されています
実はこの「油の置き換え」こそが
卵子の質や着床環境にダイレクトに影響を与える鍵となります

1. 細胞膜の「柔らかさ」を決める

私たちの体にある37兆個の細胞
その一つひとつを包む「細胞膜」の主成分は脂質です
もちろん、卵子や精子も例外ではありません
質の悪い油(トランス脂肪酸や過剰な動物性脂肪)ばかり摂っていると
細胞膜は硬く、柔軟性がなくなります
逆に、良質な油(オメガ3脂肪酸など)が豊富な細胞膜は
しなやかで流動性に富みます

これがなぜ妊活に重要かというと、受精の瞬間に関わるからです!

精子が卵子に入り込む際、また受精卵が分割していく際
細胞膜が柔らかく柔軟であることは非常に有利に働きます
「受精しにくい」「胚盤胞まで育ちにくい」という悩みに対し
当院ではまず細胞膜の材料である「油」の見直しを提案します

2. 「炎症」を抑え、着床しやすい子宮へ

もう一つの重要な視点は「炎症」です
現代の食生活に多いサラダ油や加工食品の油(オメガ6脂肪酸)は
摂りすぎると体内で炎症を引き起こす物質に変わります
慢性的な炎症は、子宮内膜の環境を悪化させ、着床を妨げる要因になり得ます
一方で、青魚に含まれるDHA・EPAや
えごま油・アマニ油(オメガ3脂肪酸)には、強力な抗炎症作用があります
子宮内の炎症を鎮め、受精卵を迎え入れる穏やかなベッドを作るためには
オメガ3の積極的な摂取が不可欠です

3. 今日からできる「油の置き換え」

米国ガイドラインを参考に
日本の食卓で実践できるポイントをまとめました

★メインのおかずを「魚」中心に
週に2〜3回は魚を食べましょう
特にサバ、イワシ、サケなどの青魚はDHA・EPAの宝庫です
(※大型魚の水銀には注意が必要ですが、これらの魚種は比較的安心です)

★調理油を変える
炒め物には酸化に強いココナッツオイル、オリーブオイルを
ドレッシングにはアマニ油やえごま油を生で使用するのがおすすめです

★「見えない油」を避ける
スナック菓子、菓子パン、揚げ物惣菜には
質の悪い油が多く含まれます
これらを控えるだけで、体内の炎症レベルは下がります

油を変えても、すぐに体感は湧かないかもしれません
しかし、赤血球が入れ替わるのにおよそ120日かかるように
体内の細胞膜にある油が良質なものに入れ替わるには数ヶ月の時間を要します
次の採卵、次の移植に向けて
今日口にするその油が、未来の赤ちゃんの細胞膜になります
「なんとなく」使っていた油を、今日から「意図的」に選んでいただきたいです

管理栄養士