溶血の疑いと妊活

2026.04.01栄養

溶血の疑いと妊活

妊活中の女性の血液検査の結果から「溶血」を疑うことがよくあります
その「溶血」とは?
どんな血液検査項目がいくつ以上で溶血の疑いがあるか、
溶血が起きている可能性がある場合にそれと妊活とがどんな影響があるか、
溶血がある場合に、どんな食事改善をした方がいいかをお伝えします

1.「溶血の疑い」を血液検査でチェック!

溶血とは、赤血球の膜が壊れ、
中にあるヘモグロビンが外に漏れ出してしまう状態を指します
採血時の物理的な刺激で起こることもありますが、
日々の栄養状態によって
「赤血球の膜が弱くなっている(脆くなっている)」ことが
原因の場合もあります

特に注目するのは、以下の項目と数値のバランスです

LDH(乳酸脱水素酵素):200 U/L 以上(特に250を超えると疑い強)
赤血球の中に多く含まれる酵素です
細胞が壊れると血液中に漏れ出すため、数値が上がります

AST > ALT(の逆転現象)
通常、肝機能の指標とされる数値ですが、
ASTは赤血球中にも多く存在します
ALTは低いのにASTだけが高い(例えばAST 25 / ALT 17など、差が8以上ある場合)は
溶血によって数値が吊り上がっている可能性があります

血清鉄(Fe):130 μg/dL 以上の高値
赤血球が壊れて中から鉄が溢れ出しているサイン
他の鉄代謝項目が低値なのに鉄が高すぎる場合は注意が必要です

UIBC(不飽和鉄結合能):異常高値(または低値)
溶血が起きると鉄の測定系に干渉し、UIBCが本来の状態を反映しなくなります
鉄が高いのにUIBCも高いといった「矛盾」が起きやすくなります

間接ビリルビン:0.6 mg/dL 以上
ヘモグロビンが分解されてできる色素
溶血が多いとこの数値が跳ね上がります

血清亜鉛:他の検査項目に比して高値
実は、亜鉛は赤血球の中に非常に多く(血清の約10倍)含まれています
そのため、溶血が起きると細胞内から亜鉛が漏れ出し、
血液検査の結果が「偽の高値」を示すことがあります

カリウム(K):4.5 mEq/L 以上
細胞内に多いカリウムが漏れ出している可能性があります

これらのサインは、あなたの体の「細胞膜」が
酸化(サビ)に弱くなっているというメッセージかもしれません

2. なぜ「溶血」が妊活に影響するの?

赤血球は、全身の細胞、そして卵子や子宮に「酸素」を運ぶ大切なトラックです

卵子・精子の質低下 →
漏れ出した鉄は、漏れ出した鉄(フリーアイアン)は強力な酸化作用を持ち
周囲の細胞を傷つけます
この酸化ストレスが、大切な卵子や精子の細胞を傷つけてしまいます

エネルギー不足 →
赤血球が壊れやすいと、全身が慢性的な酸欠状態になります
卵胞の発育や子宮内膜の増殖には大量のエネルギーが必要なため
着床環境にも悪影響を及ぼします

つまり、溶血を防ぐことは、大切な生殖細胞を酸化から守ることにもなります

3. 「壊れない細胞」を作るために食事で改善!

細胞膜(赤血球の膜)を強くし、酸化を防ぐための食事ポイントをまとめました

① 積極的に増やしたい栄養素と食品

★ビタミンE(細胞膜のガードマン)
細胞膜の酸化を直接防ぎ、膜を安定させます
食品:アーモンド、アボカド、オリーブオイル、かぼちゃ

★ビタミンB12・葉酸(赤血球の質を高める)
質の良い、形の整った赤血球を作るために必須です
食品:レバー、貝類(あさり・しじみ)、枝豆、ブロッコリー

★良質な脂質(膜の材料)
細胞膜は脂質でできています
食品:青背の魚(カツオ、サバ、イワシ)、亜麻仁油、えごま油

② 控えたい食品・生活習慣

★酸化した油とトランス脂肪酸
時間が経った揚げ物、スナック菓子、カップ麺、マーガリンなどを使った食品などは
細胞膜を酸化させ、溶血を促進します

★過剰な糖質
血糖値の乱高下は、赤血球にダメージを与えます(糖化)
甘い飲み物や菓子パンは控えめに
パスタだけ、パスタとパン、のような組み合わせも避けます

4. 調理方法の工夫:栄養を逃さない・酸化させない

せっかくの栄養も、調理法次第で効果が変わります

★「蒸す・煮る」を基本に
高温での揚げ物や炒め物は、油を酸化させやすいです
ビタミンEが豊富なアボカドやナッツは、加熱せずそのまま食べるのがベストです

★ビタミンCと一緒に摂る
ビタミンEはビタミンCと一緒に摂ることで、
抗酸化作用がリサイクルされ、持続力がアップします
「焼き魚にレモン」「アボカドにブロッコリー」といった組み合わせを意識しましょう

★鉄剤の自己判断に注意
溶血で数値上「鉄高値」が出ている場合、
鉄剤サプリを飲むとかえって酸化を助長することがあります
必ず血液データをもとに、医師や管理栄養士に相談してください


血液検査の結果は、今のあなたの体が
「何でできているか」を教えてくれる通信簿です
「溶血」というサインが見えたなら、
それは「もっと細胞をいたわって、抗酸化力を高めて」という体からのリクエスト

まずは、毎日使う油を質の良いものに変えることから始めてみることを
お勧めします
元気な赤血球を育て、子宮内膜と質の良い卵子を育んでいきましょう

*血液検査項目は組み合わせて見ていきますので、
必ずしも記載した数値だけの判断ではないことをご了承ください<(_ _)>

管理栄養士