葉酸は妊活の基本栄養素として広く知られていますが
「どの葉酸を摂るか」が重要であることは、まだあまり知られていません
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一般的なサプリに含まれる「葉酸(フォリック酸)」は、
体内の酵素によって活性型に変換される必要があります
その変換を担うのが「MTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)」という酵素です
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ところが日本人の相当数がこのMTHFR遺伝子に多型(バリアント)を持っており、
葉酸をうまく活性化できない体質の方が存在します
C677T多型のホモ接合体(TT型)は日本人に約10〜15%いると報告されています
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変換がうまく進まないと、体内のホモシステイン値が上昇します
高ホモシステイン血症は卵子の質の低下、着床不全、
流産リスクの上昇と関連することが複数の研究で示されています 1)
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酵素による変換を必要とせず、
そのまま体内で利用できる活性型の葉酸が「L-メチルフォレート(5-MTHF)」です
Scaglione & Panzavoltaは、フォリック酸・葉酸・5-MTHFは体内での利用経路が異なり、同一視できないと明確に述べています 2)
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ここで重要なお知らせがあります
L-メチルフォレートは現時点で日本においてサプリメントとして認められていません
厚生労働省が妊娠前・妊娠初期に推奨しているのは
「葉酸(フォリック酸)400μg/日」であり、これが現在の日本での公式な基準です
なので海外製品を自己判断で摂取することはお勧めできません
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では、MTHFR多型が気になる方はどうすればよいのでしょうか?
① 食品中の葉酸はほぼ5-MTHF型でもともと存在しており、ほうれん草、枝豆、ブロッコリー、アスパラガスなどの緑黄色野菜が代表的な供給源です
食事から自然な形の葉酸を摂ることが、現時点での現実的なアプローチになります
ただし熱や光に弱く調理による損失が大きいため、生食や短時間調理を意識することも大切です
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② 安心を得るために、検査をすることも可能です
専門の検査会社に直接依頼して、検査する方法があります
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③ 検査を受けるほどではないけれどMTHFR遺伝子多型や高ホモシステイン血症が
気になる方は、自己判断ではなくぜひご相談ください
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科学的根拠と日本の制度のあいだには、まだ距離があります
だからこそ、専門家とともに自分の体に合った選択をしていただきたいと願っています
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管理栄養士
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*参考文献*
1)Shaker MM, Elaraby NM, Shalabi TA. Association of MTR and MTRR polymorphisms with recurrent pregnancy loss: a case control study. Mol Biol Rep. 2024 Sep 9;51(1):971. doi: 10.1007/s11033-024-09860-4. Erratum in: Mol Biol Rep. 2024 Sep 21;51(1):1005. doi: 10.1007/s11033-024-09942-3. PMID: 39249145.
2)Scaglione F, Panzavolta G. Folate, folic acid and 5-methyltetrahydrofolate are not the same thing. Xenobiotica. 2014 May;44(5):480-8. doi: 10.3109/00498254.2013.845705. Epub 2014 Feb 4. PMID: 24494987.