
食事指導や生活習慣を改善すれば妊娠しやすくなるかどうかは正直な所、はじめは半信半疑でした。玄米食や玄米発酵食品の服用を勧めるきっかけを作ってくれたのはH16年10月に2人目希望にて当院を初診した患者さんです。
この患者さんは4年5ヶ月のあいだに顕微授精を4回して、やっと1人の女児を授かったという34歳の方でした。 その方が第2子希望にて、当院での顕微受精を受けられましたが、採卵数も3個と少なく、2ヶ受精卵を戻しましたが妊娠できませんでした。その時の落胆されたご様子から、2度目の顕微授精ではなんとしても、妊娠をさせてあげたいという思いがこみ上げてきました。
そこで考えついたのが、玄米発酵食品による体質改善です。というのも、薬では全く改善しないためレーザー治療を勧められた私の長男のアレルギー性鼻炎が、玄米発酵食品服用によりほぼ治癒したという経験があったからです。その頃は手探りでしたが、玄米発酵食品をこの患者さんに、一日3包、6ヵ月服用してもらい、再度顕微授精を行いました。すると採卵数も6ヶと改善が見られ、2ヶ胚移植して妊娠が成立し、H18年4月に待望の2人目を正常分娩されました。
この経験をもとに、ホルモン検査で女性ホルモンが少ない患者さんや低体温の方、月経不順の方にも勧めてみたとこ ろ、体質改善により、簡単に妊娠される方が出て来たため、玄米食が本来の未病の状態を改善し、その人本来の健康が戻る事により、自然に妊娠が成立しうるのだという結論に至ったわけです。よって妊娠は「健康な人に許される自然の恵み」であり、それを排卵誘発や人工授精、体外受精しか治療法がないとするのは、まるで「癌治療は手術と抗がん剤、放射線治療しかない」と考えている日本の医療の寂しい姿に似ています。私たちの体に癌細胞がないのではなくて、毎日2000〜3000個のがん細胞は絶えず生まれているが、それをリンパ球などの自己免疫細胞が毎日見つけて退治している事を忘れているのと同じなのです。
それからというもの、私の不妊治療は奇しくも、現代医療の最先端の設備や排卵誘発法をこねくり回す方向とは全く違ってゆきました。勿論設備や排卵誘発法は大事ですが、これでは患者を救えない事に気ずいたのです。すなわち、どうしたら細胞が本来の力を発揮出来るようになれるのか、若返る事になるのかを見つける旅が始まったのです。得られた結論は今のところ次の三つに集約されました。
1)病気の原因の9割を占める活性酸素を抑える
栄養にはエネルギー源としての栄養と体を守るための栄養と体を構成する栄養の3つに大きく分かれます。エネルギー源としての栄養はカロリーとして考える栄養で、炭水化物、タンパク質、脂肪が挙げられ、皆さんがよく知るところです。体を守るための栄養とは、体の酸化を防ぐ=還元してくれる力を持ったビタミンC,E,Aやリコピン、ポリフェノール、カテキンなども含まれ、体に良いものすべてが含まれます。体を構成する栄養としては骨に代表されるカルシウムや細胞膜を構成するリン脂質2重膜などが挙げられます。細胞を若返らせるためには、細胞代謝における栄養やミネラル、希少金属が揃っていないと活性化は出来ません(生命の鎖理論)。ですからピンポイントで補おうとする一般サプリメントでは効果がほとんど発揮できないことになります。それ等をバランス良く含んでいるものは、元々かなりバランスがとれた栄養をもっているものを摂らなければならず、玄米や麦、麹菌に代表される菌類などの栄養を戴いて初めて私たちの細胞が満足する栄養となります。
細胞膜は、リン脂質の2重膜と言われていますが、その細胞膜には、私たちの臓器で言えば、肺と心臓と腸管と腎臓、果ては神経の機能をも兼ね備えています。すなわち細胞膜が元気でいないと細胞の中が元気に代謝が出来ないのです。細胞膜には血流中の溶存酸素と二酸化炭素を細胞膜を通して送り込み、主な栄養源のブドウ糖はインシュリンを回したグルコーストランスポーターという膜輸送タンパク質を介して取り込まれ、細胞内に酸化物が大量に発生した場合は細胞膜が酸化されて酸化脂質となって細胞内を守ります。そのためには酸化されやすいオメガ3系の油が細胞には必要ですが、私たちの細胞膜は日常の食事からは、多くはオメガ6系のものが圧倒的に多く、細胞膜の構成成分に不適切なプラスチックオイルと言われるマーガリンやショートニングを含んだものを摂ってはいないでしょうか?また細胞の表面にはNa+- K+ポンプがあり、ATPを使って積極的に細胞の内側にはカリウムイオン(K+)が外部より10〜20倍多く,逆にナトリウムイオン(Na+)は内側が少ない状態を作り出して腎臓のような働きをしていたりします。 細胞表面に存在するホルモン受容体の主なものは,Gタンパク連結型受容体と酵素連結型受容体があることが分かっており、Gタンパク連結型受容体をもつホルモンは多い(アドレナリン,グルカゴン,ガストリン,バソプレシン,副腎皮質刺激ホルモンなど)。酵素連結型受容体は膜貫通タンパク質であり,リガンド結合部が細胞外表面にあり,細胞質基質側には酵素活性をもつ部位をもつか,酵素と直接結合している。その代表がインスリン受容体で細胞のエネルギー源であるグルコースの輸送を行っている。
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