妊娠体質づくり

妊娠体質づくり

FSH30台の人でもFSHは一桁に戻ります。

当院では、栄養療法のみによりFSH30台の方が2~3ヶ月で一桁に戻る事が可能です。 通常、ホルモン補充療法で下垂体を抑制して、そのような環境を作り出しますが、卵胞の発育環境はゴナドトロピンの過剰刺激が抑制されているだけで、その他の環境は変わりません。当院の方法は、3ヶ月前から発育してゆく環境をベストに近い状態にして減少卵数を少なくし、その小さな卵胞たちが出す下垂体を抑制する因子(AMH, inhibin B&Aなど)が増えて自然とゴナドトロピンの値は下がってゆきます。さらに良い事に、良い環境で発育した卵であるため、中等度の過剰刺激しても卵胞数が減少する事は少なく、また低容量のゴナドトロピンの補充でも十分に卵胞ホルモン(E2)が増加してゆきます。卵巣年齢を示す抗ミュラーリアンホルモンAMHは増えます。 卵巣年齢を示す抗ミュラーリアンホルモンAMHは増えます。AMHは増えないとマスコミや多くの先生が話していますが、これは真実ではありません。AMHは条件が整えば増えます。元々AMHは図1の様に約3ヶ月前から生理までの 0.2~5mm ほどの小さな発育途中の卵胞が出すホルモンです。AMHは予備卵胞数が多いか少ないか教えてくれますが、妊娠できないかどうかまでは教 えてくれない理由はこのような事情からも分かると思います。私は卵胞発育の環境、即ち栄養状態や活性酸素が良いか悪いか、残された不妊治療期間が長いか短いかを教えてくれる指標としています。


受精しない、分割が途中で止まってしまう、そのような方は是非栄養療法をしてみてください。

受精しない、または途中で卵の分割が止まってしまう場合、どんな事が考えられるでしょうか?男性の精子が卵を活性化する能力を持たない場合も有るでしょうが、それは少ないと思います。多くは卵が育つ環境の中で、十分な栄養が卵に供給できなくて、卵胞の分割をになう機能性タンパク質が十分発現できないためにが止まってしまうことの方がずっと多いと思います。現に、そのような方を栄養療法で治療後に誘発・採卵・受精させると受精や分割がおこってくるのをいつも経験しています。


栄養療法にて本来の卵胞発育を最善に近づけて、45歳台の妊娠も視野の中に・・

高齢不妊女性の特徴は、何と言っても細胞代謝の低下が特徴です。一般的には徹夜できない、何をしても疲れる、元気が出ない、と行った事でしょうか。それを改善する方法は無いのでしょうか? いいえ、有ります。それが栄養療法なのです。細胞の代謝を上げるには、細胞に最適で、十分な栄養を投与すれば、細胞は若かりし頃の本来の代謝が戻り、エネルギー産生能力が戻れば、年齢の限界を超えて安全で幸せな妊娠ができる可能性があります。染色体異常は、代謝異常の可能性が、栄養でリスクを少なくする事も・・。 高齢になるとダウン症などの染色体異常が高頻度におこってくるのは周知の事と思います。若い方に少なくて、加齢とともに発生率が上昇するのは代謝が悪くなるからだと以前から思っていました。H25年1月に東大の渡辺先生らが染色体の分離時に染色体が分離しないようにするシュゴシンというタンパク質が発現して来るのです。それが加齢による代謝の低下によって発現できなくなったら、染色体の不分離が簡単に起きてしまうというストーリーが成り立ちます。でもこれはまだ実証されていませんが、時間の問題で誰かが証明してくれるでしょう。その時を楽しみにしています。


タンパク質やビタミン、ミネラルを十分摂取してください。

代謝を上げるには何が大切かという問いに対して、多くの方はビタミンやミネラルと思っているようです。でも真実は違うように思います。栄養学の基礎として、人が一日に摂取しなければならないタンパク量は体重1kgあたり1g~1.2gであると言われています。具体的にこれはどのくらいの量かというと、体重50kgの人ならたまご7~8個に相当します。これ位を毎日摂取している日本人はどのくらいいるでしょうか? プロレスラーなどの肉体強化を職業としている人以外は、殆ど皆無に近いと思います。即ち、多くの方が普通の食事では殆ど不可能に近い事なのです。そこでサプリメントの必要性が出てきます。


サプリメントはどれでも良いのか?

皆さんの回りにあるサプリメントは殆どお勧めできません。なぜなら、


  1. その多くが病気を起こさないための最低必要量しか含有していない。
  2. 安いもののほとんどは化学合成で作成されたもので、化学平衡反応にて作成されるため、光学的にR体とL体がどうしても等量存在する。R体は天然物でないためそれを使えないばかりか、生理作用を邪魔してしまう可能性がある。
  3. 原料から吟味され、医薬品を作成するレベルのGMP工場にてしっかりと品質管理をされて作られたサプリメントは稀、安いものの多くは原料と生産も中国などの海外で生産され、品質管理に不安が残るものが大半です。
  4. 製品に対して数ヶ月単位で定期的に製品の成分チェックをしている製造会社は殆んどありません。このようなお金にならない事をやりたがらないものですが、そこをしっかりやっている会社は日本に数社有るだけです。

糖毒性:甘いものは毒です。

私たちの生活を脅かすもう一つのものが、甘いものです。皆さんの回りには、あまりに甘いものが氾濫しており、健康を害する環境が整っています。具体的には、精製された小麦粉から作られる白いパンや、白いご飯、白いうどんなどが代表例です。これらは血糖値を急に上げ、非特異的に糖がタンパク質と結合し、すべてのタンパク質の機能を障害します。また機能不全を起こした糖化タンパク質が、さらに酸化されると不可逆的なAGEs(advanced glycation end-products)となり、活性酸素を発生してしまうので、できるだけ血糖値は上げないようにGI値(グリセミック指数 glycemic index)が低い、玄米や全粒粉のパンを食べるように努めましょう。また、この精製された白い食品は、殆んどビタミンやタンパク質を含んでいません。このような食品が単糖体であるグルコースに分解され、細胞内のミトコンドリアに運ばれて、TCA回路にてエネルギーの通貨であるATPが大量につくられ、私たちは甘い物を食べた後に元気が出たように感じます。でもこのとき大量のビタミンが消費されます。これが繰り返されると、慢性的なビタミンB群の欠乏が起こり、空腹時のタンパク質を脱アミノ基反応にて糖にしてTCA回路の代謝産物をつくり、ATP産生を維持しようとしますが、ビタミンB群が不足しているため思うようにATP産生ができず、生命を維持するための基礎代謝が低下します。即ち、甘い物を摂ると体温が冷えるという事になるのです。その代表的なマーカーが尿素窒素(BUN)です。大量のタンパク質を摂取した場合や胃潰瘍などの消化性疾患や腎機能不良(75%以上の機能障害があると上昇)などがあると上昇しますが、通常は余り変動しないマーカーです。基準値は早朝空腹時で10~15mg/dlです。甘い物を多く摂っている方は、この値が4~8mg/dlぐらいの低値であることが殆どです。不妊症の方はこの値が低い方が多いのですが、これらの方は体外受精をしても受精卵の代謝がわるいために、受精しなかったり、受精しても分割が止まってしまったり、遅かったりします。ですから不妊症の方は是非とも、この基礎代謝を上げるために、甘い物を控え(即ち糖質制限)、ビタミンの補充、酸素が供給できるように貧血を治した方が良いのです。