妊娠体質づくり

食生活について

細胞代謝が活性化するには、代謝に必要な全ての栄養素をバランス良くとらなければなりません。私達の周りには、加工度が高く添加物が多く含まれる食品が沢山出回っています。それらの食品を何十品目も摂取したとしても「バランスのとれた食生活」とは言えません。食品に対する正しい知識を得ることによって、食べ物の大切さを実感すると共に日々の食生活が充実すると思います。下記の「若返る食事の法則」を実践し、食生活を改善して細胞を若返らせましょう!


若返る食事の法則

1.タンパク質を多く摂りましょう

欧米人に比べてアジア人は以前から統計的に妊孕性が劣っています。これは主にタンパク質を多く摂っている事に起因します。なぜかと言いますと、生命の代謝は一つの細胞辺り約12000種類の酵素によってとり行われていますが、この酵素の原料がタンパク質であるため、十分な原料のタンパク質が無いと十分な酵素が作れません。このような時は、必要なものを作って利用し終わったら分解してアミノ酸に戻し、このアミノ酸から再度必要な酵素を作成するという「自転車操業」を細胞の中でしています。ですからどうしてもタンパク質が不足しがちなアジア人は細胞増殖などの代謝が悪くなり、妊孕性が落ちてしまいます。
不妊患者の多くは35歳以上の代謝が生理的に低下している方が多く、特に体外受精などで良い卵が採れない方には、この傾向が強い事が分かっています。ですから不妊患者の卵の質を良くする最も大切な点は、良質な蛋白を十分摂取する事です。具体的には卵や青魚、お肉、大豆製品をおおく摂る事が必要です。一つ注意してほしい事は、植物性蛋白にはアミノ酸からタンパク質を合成を開始するときに必要なメチオニンというアミノ酸が少ないため、メチオニンを多く含む動物性パンパク質を一緒に摂るように心がけてください。
毎日私たちの体は赤血球が120日、皮膚が30日、胃や腸などの粘膜が2~3日で入れ替わっており、平均して100~200億の細胞が入れ替わっていると言われています。不妊治療で大事な、卵細胞や精子細胞は75日ほどで成長すると言われています。これらの細胞の入れ替えを支えるためには十分な量の蛋白の補充が必要になります。
また細胞膜を構成するものとして油類は重要です。理想的にはオメガ3とオメガ6系の油が1対3の割合がもっとも理想的とされていますが、オメガ6系の油(天ぷら油、ごま油)を我々は非常に多く摂り過ぎる傾向があります。できれば血液をサラサラにしてコレステロールを下げてくれる様やEPAやDHAが含まれた青魚や昆布・わかめ等を摂るようにしたり、亜麻の実(ゴマのようなもの)を積極的に摂り、オメガ3系の油を増やすようにしてください。


2.主食はなるべく未精白玄米に

パンダが笹の葉や竹を食べるのみでそれ以外のものを食べなくても元気であるように、動物にはそれぞれ食すべき適応食があります。人間も動物ですから本来食べて元気になる適応食があり、古来からそれが玄米であることを古人は教えてくれています。ですから食事の60%は少なくとも穀物、できれば陰陽のバランスがとれた玄米にすると良いでしょう。
しかし、よく「30品目以上の食品を摂りなさい」といわれますが、果たしてそれは正しいことなのでしょうか?それは以下の点であまり良くないと思われます。まず第一にそれだけの食材を購入する費用がかかり不経済です。第二に購入された食品には添加物が多く含まれ、日持ちを良くするために加熱調理(滅菌処理)され、時間がたっているものが多く、栄養価は損なわれているものまで摂ることになる。第三に何を食べようかと悩んでストレスを感じてしまいます。第四に自然界では同じものが入ってくるので胃腸は楽ですが、30品目以上を摂るということは胃腸を酷使する事になり、胃腸が疲弊します。それよりは完全栄養に近い玄米を食べれば簡単に事足ります。でも精米した白米は「粕(カス)」と言う字になるように、殿粉の固まりで、白砂糖をとっているのと同じです。うどんやパンなどの白い食べ物もデンプンの固まりで砂糖と同じばかりでなく、粉にしていますから、空気中の酸素により酸化されており、白米以下の食べ物です。
ところで殿粉は分解されてブドウ糖となり、細胞内に取り込まれ、ミトコンドリアでATPの原料として使用されます。このときにビタミンB1,B2,B6,B12やミネラルなどを消費してしまうことが分かっており、特にビタミンB1不足は顕著です。B1不足は、仕事や勉強に集中できない、昼間に居眠りをする、イライラする、疲れやすい、肩がこる、口内炎ができやすいなどの日常よくある症状を引き起こしますので「えっ」と驚かれるかもしれません。ですから、白米やうどんや白いパンは栄養素を奪う「マイナスの食べ物」なのです。有名な話しとしては、ビタミンB1を米糠から抽出した鈴木梅太郎が、「ニワトリとハトを白米で飼育すると脚気様の症状がでて死ぬこと、糠と麦と玄米には脚気を予防して快復させる成分があること、白米はいろいろな成分が欠乏している」ことを報告しています。現代の皆さんが白い殿粉の固まりや白い砂糖のお菓子を沢山食べて健康でいられる方が如何に少ないか、「未病」の方が如何に多いかと言う根本原因が上記にあります。また精米した白米は黴びやすく、表面の酸化された糠油を落とさなければならないため、多量の水で「研ぎ」、下水を汚し、カロリーはあるが人を養う栄養が大変少ないものです。話しが逸れてしまいましたが、結論として玄米には体の中で利用できるように必要なビタミンB類やミネラル・補酵素類がバランスよくほとんど全て入っていますので、玄米食をなるべく食べるようにしましょう。玄米食がなかなか食べられない人は、雑穀を混ぜたり、麦飯を食べたりして工夫しましょう。健康の「康」に「米」を足すと「糠(ヌカ)」となるように、糠には健康の元があります。この糠を沢山使って麹菌で醗酵させた「玄米発酵食品」は非常に優れた食品ですので、外食で玄米を摂れないときなどに服用して玄米の栄養をスマートに摂取できますから、毎日利用するようにしましょう。


3.副食は「まごはやさしいこ」を中心に

いつもタンパク質を多く摂るように心がける一方で、体のミネラルバランスやビタミンが十分取れるように、下記の様な副食も念頭に置いて毎日の食生活を組み立てるようにしましょう。



4.砂糖(お菓子やジュース)や果物は控えめに

白砂糖は体の中でエネルギーになる時にビタミンBや貴重なミネラルを消費してしまいます。また体温を軽度下げてしまい、女性の冷え性の原因のひとつになっています。 またブドウ糖は癌細胞の多くが解糖系の代謝で生きているため、PETなどの最先端の癌検出検査の原理となっています。見かたを変えれば、癌を元気づけているようなものです。ですからあまり甘いものは美味しいですが摂らないに越したことがありません。安保先生の著書によると癌細胞を抑制してくれる免疫細胞であるリンパ球の働きを抑えてしまい、発癌しやすい環境を作ってしまうとのことです。 ですから果物の摂取はミネラルや栄養に富んでいますが少量を旨とし、太りやすい食後の果物は控え、摂る場合は朝一番など空腹時が良いでしょう。


5.発酵食品で「酵素」を補給

発酵食品(納豆やみそ、玄米発酵食など)には消化酵素が含まれているので消化を助ける働きがあります。その他の酵素も私たちの体には必要とされています。万田酵素で巨大な大根やカボチャが出来るように、私たちの体を元気にするには酵素は必須のものです。でも、万田酵素は甘いものなのであまりお勧めできません。私たちの食べ物の多くは加熱調理されますので酵素は枯渇気味です。是非麹菌や乳酸菌の発酵食品を出来るだけ食べてください。また麹菌などの発酵食品を摂ると、麹菌の菌体内に全ての必須アミノ酸やビタミン類(ビタミンC以外)、NADなどが多量に含まれているため、それらを充分に補えます。


6.水を飲む(コーヒーや緑茶は控えめに)

体の約70%は水分です。コーヒーやお茶、清涼飲料水ではなく「お水」を飲むようにしましょう。朝起きてすぐと、食事の30分~1時間前に飲むようにすると良いでしょう。カフェインの摂りすぎは交感神経を刺激し好中球から活性酸素が多量に分泌されるため、体に良くありません。またスポーツドリンクも激しい運動をして汗として出る分を補うように設計されたもので、塩分やその他のミネラルも多量にあり、腎臓に負担をかけますので、毎日摂るのはお勧めできません。


7.体を温める(酵素の働きを良くする)

私たちの体は酵素で物質代謝や呼吸・エネルギー産生をしています。この酵素は体温が下がると不活化しますので低体温の人は風邪を引きやすく元気が無く、疲れやすいものです。反対に風邪を引くとウイルスをやっつけようと体温を上げて酵素活性を上げて抵抗力を強めます。ですから、体温は私たちにとって酵素の効率性を上げ下げする重大な要因なので、低体温は大敵なのです。体温を1度下げると酵素活性は30%ほど低下すると言われています。ですから体温を上げるショウガやニンニク等の香辛料を摂取しましょう。ちなみに漢方薬の成分の半分は生姜が含まれていることが多いのです。岩盤浴や半身浴・足湯なども効果的です。


8.食べ過ぎない(酵素の無駄遣いを防ぐ)

食べ過ぎは、病気にかかりやすく短命につながります。「腹八分は医者いらず、腹七分は病気知らず」という名言は真実です。マウスの実験では、普通に食事を与えた群と70%の食事制限をした群では、食事制限をした群のマウスが1.4倍も長生きしたと言う報告があります。これに関する報告は多数あり、食べ過ぎは不健康のもと、消化するのに大変なエネルギーが必要であることを肝に銘じておいてください。ですから朝食は水と玄米発酵食品だけでも良いでしょう。食事を減らしたい方は、食前に玄米発酵食品や豆乳などでお腹を膨らませると効果的です。


9.調味料「さ・し・す・せ・そ」を良い品質のものに

加工品(添加物)や農薬の多い食品を減らしましょう。なぜかというと、多くの加工食品の中にはミネラルを挟んで(キレートして)便とともに出してしまう重合リン酸塩が多量に含まれている事が多いため、食品の貴重なミネラル不足に陥ってしまっています。この事については、NPO法人「食品と暮らしの 安全基金」の小若順一・国光美佳著の「食事でかかる新型栄養失調」三五館 1400円 を参照してください。また添加物は自然のものでないものが多く、それらは肝臓で活性酸素を用いて解毒してゆきますので、その余分に発生した活性酸素が体に悪い影響を与えている可能性があります。具体的には、コンビニエンスストアの弁当を豚に餌として与えて1年ほどしたら、奇形の子豚が以上に多く発生したという九州の養豚業者の話などはその典型例だと思います。 私たちが手にするコンビニエントな食材の殆どのものに含まれていますので、せめて裏面のラベルを見て添加物の少ないものを選びましょう。法律にて表示は、原材料と食品添加物に区分し、重量の割合の多い順に使用したすべての原材料を記載することになっています。また、栄養強化の目的で使用されるビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類や、加工助剤(油脂製造時の抽出溶剤であるヘキサンなど)及びキャリーオーバーについては、表示が免除されています。なるべく天然のものを使うようにして下さい。


10.精神の安定・適度な運動・呼吸法

いつも笑顔で楽しい家庭がベスト! 家庭のストレスは最大のストレスになりかねないので、夫婦仲がよろしくなるように、お互いに思いやりをもって、感謝の念を忘れずに毎日お過ごしください。また適度な運動(歩くことなど)や腹式呼吸などで気分転換をすると代謝が上がり、体温も上がりストレス発散にもなるので是非取り入れてみてください。


食べてはいけないもの

皆さんは、食事をする時に食材について考えたことがあるでしょうか?
スーパーに行けばほとんどの食材が手に入る現代、それらの生産過程を全て知ることは難しくなっています。食の安全性が危惧されたここ数年、大手スーパーなど一部では情報開示に努めているようですが、皆さん自身も食材について良く知っておく必要があると思います。


食べてはいけない脂(あぶら)

マーガリン
ショートニング


欧米では「マーガリンを食べる=穏やかな自殺」とまで言われ規制されています。摂ってはいけない脂の代表です。
ショートニングはバターやラードの代用品として作られた製品です。聞き慣れない言葉かも知れませんが、パ ン・ケーキ・クッキー・コーヒー用のミルク・アイスクリーム・レトルトカレーなどの加工食品やお菓子類のほとんどに原材料として使われています。
各種アレルギーの元凶となることがわかっており、欧米諸国では原則禁止または制限されているのに、日本ではそれらが含まれていない製品を探す方が大変なほどです。

なぜマーガリンやショートニングは体に害を及ぼすと言われているのでしょうか?
それは「トランス脂肪酸」という脂質を含むからです。「トランス脂肪酸」については後ほど詳しく説明致します。

オメガ6系の有機溶媒で作られた精製油(天ぷら油、コーン油、ごま油)

これらは体に必要なものですが、日常生活の中で多量に摂っていることが問題です。
スーパーなどに陳列されているコーン油などのほとんどが精製過程でビタミンAやビタミンE、酵素などの栄養を失い、反対に摂ってはいけない過酸化脂質や活性酸素、トランス脂肪酸が生じ、極少量ですが有機溶媒のヘキサンも含有されています。ほとんどの方が必要以上に摂取しているため、余り摂らない様に気を付けたいものです。